5秒で痛みを脱ぐ

どのようなシステムで痛みを感じているのでしょうか。

「痛みの歴史」から探求していきます。

代表的な学説を追っていくことにしましょう。痛みは、どのように発生するか、というメカニズムについて、最も古くから考えられていたのが「特殊説」です。

痛みは塔の下でロープを引っ張って鐘楼の鐘を鳴らすようなものだ、というものです。

ロープを強く引っ張ると、鐘の音は大きくなります。小さく引っ張れば鐘の音は小さくなり、ロープを切ってしまえば鐘は鳴りません。また鐘に結びついていなければ、いくらロープを引っ張っても鳴りません。痛みも同じだ、というのです。

ロープを引っ張るのが「侵害刺激」で、ロープは「神経」鐘は脳の中枢である「間脳」で、鐘の音色が「痛み」で、音の大きさが痛みの「強さ」というわけです。

 

侵害刺激は特殊な痛みの受容器から、特殊な神経に伝わり、脳の特殊な部位に達して"痛み"という意識にのぼる、ということから、このメカニズムを特殊説と名づけ、1664年、デスカーテスによって唱えられてきました。

以来、長い間この学説が定着しました。神経生理学、神経内科学、神経外科学などあらゆる教科書に詳しく記載されています。

しかし「鐘楼の鐘」=特殊説では説明できない"痛み"が、続々と出現してきました。

 

・鐘楼のロープを大きく引っ張っても、大きな音が鳴るとは限らない。

・鐘のロープを切断しても、相変わらず鳴り続けている。

・侵害刺激ではない、ほんのすこしロープに触れただけでも、大きく鳴り続ける。

・誰もロープに触れていないのに、鐘が勝手に大きく鳴らす。

・鐘のロープを引っ張ったのに、関係の無い遠い別の場所の鐘が鳴り出す。

・侵害刺激が加わっても、すぐに痛みが出ず、しばらくはってから痛み出す。

このような特殊説では説明のつかない痛みは、現実には想像以上に存在しています。

「パターン説」

1894年、ゴールドシャイダーによって、繰り返すと痛みが強くなる「パターン説」が主張されました。

お寺の撞木で鐘を突く場合、何回も何回も素振りしていくと、やがて大きな振幅になり、この「パターン化」で大きな鐘の音、激痛が現れるという説です。

しかし、この「パターン説」を持ってしても、脊髄や、脳にいく痛みの伝達路をいくら切断しても、痛みは消えない、という事実を説明できません。

鐘つき棒をとりはずしても、鐘はゴーンと鳴り響くことがあるのです。

17世紀に登場したのは、痛みを感ずる人の抱いている感情によって、痛みは発現するという「情緒説」です。教会のロープや、お寺の撞木や、その鳴らし方(強さ)ではなく、あくまで鳴った音色に痛みは存在する、という説です。

仕事や趣味に熱中していると、痛みは軽くなるという感情説です。

これは痛みの一面を鋭く指摘している。

・・・骨折の痛み、針でつついた痛みは単なる感覚の一つではない。

 

そこで最有力な学説が登場してきます。

昔から伝えられてきた「コメカミに梅干や、米ツブを貼ると、痛みが和らぐ」・・・意外にも現代科学の最先端に触れていたのです。

現在の新しい痛みの学説とは「ゲートコントロール説」です。

「ゲートコントロール説」

この理論が力を持ち続けているポイントは、「痛みが感じられる以前に、入力を修飾できる神経機構が存在する」と説明した点にあります。

このゲートとは"玄関"とか"門"という意味です。多くの学者から「痛みの概念を大きく変えた」「全く革命的な意見だ」と高い評価を得た学説です。

つまり痛みはそのまま間脳に入るのではなく、途中さまざまな要因で促進されたり、抑制されて脳に伝わる。そのため同じ痛みでも強くなったり弱くなったりする、という今までにない解釈を示したからです。このゲートは脊髄に存在し、痛みの刺激はゲートを通って間脳へ伝えられます。そこに門番がいて、門を開けると痛み刺激は能へ伝わり、門を閉めると痛み刺激は脳に伝わらない。

痛み刺激がどう伝わるか、ゲートの開閉に大きく関係してきます。

つまり痛いとき、思わずそこを手で押さえると、なぜか痛みが和らぐ・・・このメカニズムを、ゲートコントロール説が明かしたわけです。

 

※痛みはAデルタ神経と、C繊維神経によって脳の中枢(間脳)へ伝えられます。

刺すように痛いのがAデルタ神経で、ドーンと鈍い痛みがC繊維神経です。

Aデルタ神経は最も太い神経で、痛みを伝えるスピードは、とても速くて時速500キロメートルです。C繊維神経は最も細く、伝達スピードは時速50キロメートルです。

Aデルタ神経を別な手段で刺激してやると、スピードの速いこの神経は、脊髄に達し、脊髄の後角でSG細胞(膠様質にある小さな神経細胞)を賦活させます。結果、痛みをT細胞へ伝えることを押さえてしまうことになります。脊髄のゲートが閉鎖され、後から来る痛みは到着しません。これが「ゲートコントロール説」といって、1965年発表され、痛みの学説の金字塔になりました。

 

もちろん脳のモルヒネ=エンドルフィンも下行性抑制性制御装置として働きゲートを閉じてくれます。

音楽でも痛みを軽くしてくれますし、気分がよいとゲートを閉じるのも、みな間脳の働きです。だから、舌下式ローヤルゼリーでギャバを脳に送り込んで「間脳」を活性化させてから「ストレッサー」を貼って押すと、痛み抑制効果は倍増されるのは、この理論から説明できます。

 

「ストレッサー」のような軽く微弱な刺激が、なぜ大きな効果を生むか。

「パターン説」でいわれたように、撞木をウォーミングアップすることで、弱い刺激であっても、大きな刺激が誘発されるのです。生理学用語で「加重」と呼びます。「エドリアンの法則」といってストレッサーのようなわずかな刺激は、時間的に加重されると、一定の神経活動を引き起こすのです。

■後藤 克夫

 

1937年東京に生まれ、慶應義塾大学に学ぶ。1970年ソ連長寿村研究探訪したのをきっかけに、健康・医学への探求をはじめ、健康ルポを雑誌に発表。1973年、世界列国議会同盟会議の日本代表議員に随行してアフリカに渡ったのをはじめ、アメリカ、フランス、オランダ、デンマー

ク、エジプト、ドイツ、イタリアなどを健康調査で歴訪。最近ではサンパウロ、リオデジャネイロ、クリチーバ、ロンドニーナ、マリンガや、ロサンゼルス、サンフランシスコやハワイに招かれ「熟年健康大学」を開催。

 

著書『ローヤルゼリー驚異のR効果』主婦の友社1983年。

『間脳健康法』講談社1985年。

『5秒で痛みを軽く』アノプランニング、

『ローヤルゼリーはなぜ天才か』アノプランニング1995年。

『蜂王漿驚人的R効果』青春出版社(台湾)1995年。

『5秒で痛みを脱ぐ』アノプランニング2011年。

「奥さま健康大学」「熟年健康大学」「農村健康大学」主宰。

What's New

健康と言うのは「病気ではない」状態ではありません。

ロコモティブシンドローム

その概念・チェック法など

酵素でファスティング

ファスティング・プログラム

健康の基本は、温めること!